大腿骨頭壊死症
大腿骨頭壊死症は栄養血管(上被膜動脈)の途絶が病態と考えられている。
特発性と症候性の2タイプがある
特発性
特発性は明らかな原因がないタイプであり、
・アルコール性
・ステロイド性
などがある。
アルコール性、ステロイド性は明らかな原因と思うかもしれないが、
いまだ発生機序が明らかにされていないため、広義の特発性に分類される。
症候性
症候性は明らかな原因があるタイプで、
・外傷性 →最多
・塞栓性(減圧性)…Gaucher病、鎌状赤血球症などが含まれる
・放射線照射後
・手術後(医原性)
の4つが代表的なもので、最も多いものは外傷性である。
疫学
青年・壮年期に好発 ← アルコール飲酒やタバコ、膠原病の好発年齢に合致
男性にやや多い ← アルコール、タバコの影響大きい
50%は両側性である
→ステロイドやアルコールの影響(全身に投与されるから、両側に影響するのは必然)
ステロイド性はSLEに対するステロイドパルスが原因となることが多い
覚える必要ないが、プレドニゾロン換算で16.6mg/day以上でリスクが4倍となる
→逆に少量投与のRA患者などの発症頻度は少ないとされている
アルコール性では日本酒換算で2合を10年継続で好発する
診断基準
Xp所見と検査所見があり、難病情報センター(https://www.nanbyou.or.jp/entry/306)から以下転載する(一部改変)
注:診断基準5つを正確に暗記する必要あり
(ポイントとして関節症性変化は診断基準には関係ないということである。)
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<診断基準>
X線所見(股関節単純X線の正面像及び側面像で判断する。関節裂隙の狭小化がないこと、臼蓋には異常所見がないことを要する。)
1.骨頭圧潰あるいはcrescent sign (骨頭軟骨下骨折線像)
2.骨頭内の帯状硬化像の形成
検査所見
3.骨シンチグラム:骨頭の cold in hot 像
4.MRI :骨頭内帯状低信号域(T1強調画像でのいずれかの断面で、
骨髄組織の正常信号域を分界する像)
5.骨生検標本での骨壊死像 (連続した切片標本内に骨及び骨髄組織の壊死が存在し、
健常域との界面に線維性組織や添加骨形成などの修復反応を認める像)
診断のカテゴリー:
上記項目のうち、2つ以上を満たせばDefiniteとする。
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Xp:Crecent sign
→軟骨下骨の骨折を反映したもの、痛みの原因!壊死が痛いのではない!(注意)
Xp:帯状硬化
骨シンチグラム:cold in hot
これは医師国家試験でも出たのでおぼえているだろう
壊死部分は取り込みが少なくcoldに、
壊死周囲の修復部分は取り込みが多くなっているので、hotとなる
MRI:帯状硬化像
これは早期の骨頭壊死にのみ現れ、
壊死部と正常部の境目に線維性の肉芽組織(繊維組織はMRIでlow)を反映したものである
晩期になると壊死部分全体がlowとなるため、band patternは見られなくなる
(右側:晩期 左側:早期でband patternが見られる)
病期分類
Stage1…Xpではなにもわからない(MRIで診断)
Stage2…帯状硬化像、骨透亮像あり
Stage3…骨頭の圧潰あり(3Aは骨頭圧壊が3mm以内、3Bは3mm以上)
Stage4…臼蓋側に変性あり
病型分類
荷重面を3分割し、壊死の範囲が内側からどこまで及んでいるかで病型がきまる
TypeA…内側1/3まで
TypeB…内側2/3まで
TypeC1…荷重部全体
更に臼蓋外側縁を超えるものはtypeC2となる
治療
壊死の範囲は進行しないとされており、2〜3年で正常の骨組織に戻る。
そのため骨頭温存の骨切り術がスタンダードとなっている
→壊死が進行するのであれば、骨頭温存できないのでTHAがスタンダードとなっているはず
保存療法
壊死が非荷重部(typeA、B)のみの場合は保存療法も可能
typeBも保存?!と思うかもしれないが、骨切り後の健常荷重部を30%以上を目標とすることが多く、意外と健常部が少なくてもいいのである
手術療法
骨切り術がスタンダード
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