骨端線とは
・骨端線=成長軟骨板損傷
・骨端線は骨端と骨幹端の間に存在し、成長がとまる15〜18歳までの長軸方向の成長を司る
・小児では靱帯や関節包は比較的強靭で、骨に一定以上の外力が及ぶと力学的に弱い骨端線で損傷が生じる
・小児骨折の15〜19%にみられる
・分類Salter&Harris分類(以下SH分類)が一般的
・SH分類のⅣまでは正しい治療を受ければ障害を残すことはほとんどないと言われている
・90%がⅠ+Ⅱ型
・手指骨の骨端線損傷が最も多く、ついで上腕骨外顆、橈骨遠位、腓骨遠位の順である
Salter & Harris分類
・覚え方は「SALTR」と覚える。(salterからEを飛ばす)
Ⅰ=Straight 骨端線に沿ってまっすぐな骨折線
Ⅱ=Above 骨端線の上に抜けていく骨折線
Ⅲ=Lower 骨端線の下に抜けていく骨折線
Ⅳ=Transverse 骨端線を横切る骨折線
Ⅴ=Rammed 骨端線が潰されたもの(図10 V型の右は部分的に骨端線が損傷したもの)
以下細かく解説すると
・Ⅰ型:骨端が骨折を伴うことなく、骨端線を横断する損傷により骨幹端より離開したもの
成長障害を起こすことは少ない。転位が軽度の場合には診断が困難な場合がある
・Ⅱ型:最も高頻度に見られる損傷型。骨端に三角形の骨片を残して貫通する。この骨片をthurston-Holland骨片という。整復は容易で成長障害を起こすことは少なく、予後良好である。
・Ⅲ型:骨端線から骨端へ(関節内へ)至る骨折。頻度は少ないが、関節内骨折となるので、十分な整復が必要。
・Ⅳ型:骨端、骨端線、骨幹端を縦に貫通する。骨端線を中心に正確な整復が得られない場合は早期に損傷部位の骨端線が閉鎖し成長障害、関節変形が生じる。
・Ⅴ型:強力な圧迫力が骨端線に加わり、骨端線が圧挫される。X線での診断は困難でMRIを要する。軟骨細胞の成長が障害されるために経過とともに骨端線の圧挫された部分の早期閉鎖が起こり、局所に成長が障害されるので、予後は不良。
治療について
手術適応は以下となる
・骨幅1/3以上の側方転位
・20〜25°以上の屈曲変形
・SH分類Ⅲ、Ⅳ
・大腿骨遠位端や脛骨近位端などの骨成長が旺盛な部位
理由
・基本的には骨膜が保たれていることや小児の自家矯正力により許容範囲の整復が行われれば成長障害をおこさず良好な結果が得られる。
小児の自家矯正力に関しては諸説あるが、骨幅1/3までの側方転位(横ずれ)、屈曲転位(お辞儀するような変形)は20〜25°が限界と言われているので、骨端線損傷においても同様の考えが用いられている。
・ただし骨端線もさまざまである。例えば大腿骨遠位部は成長速度が早い箇所なので、転位が少なくても成長障害を起こす可能性は高くなる。同様の箇所としては脛骨近位端などが挙げられる。
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